温泉宿に泊まると、脱衣場にびっしり文字が書かれた紙が貼ってありますよね。あれ、ちゃんと読んだことありますか?
実は「温泉分析書」という大切な書類で、その温泉の素顔がぎゅっと詰まっているんです。
温泉通を自称する私も、最初はあの紙の意味がさっぱりわかりませんでした。でも読み方がわかってくると、温泉めぐりがグッと面白くなるんですよね。
今日はそんな温泉分析書の基本を、わかりやすくご紹介します。
温泉分析書とは?法律で掲示が義務づけられている
温泉分析書というのは、その温泉にどんな成分がどれくらい含まれているかを示した分析結果の書類です。
実はこれ、温泉施設は法律によって脱衣場など利用者の見やすい場所に掲示することが義務づけられています。
掲示しない場合は罰金まで科せられるという、なかなか厳しいルールなんです。
温泉地をめぐっていると、古びた紙に手書きの数字がびっしり……という分析書を見かけることもあります。
あれはおそらく昔からずっと掲示されているもの。なんだか味があっていいな、と思う反面、「最近の情報なのかな?」と気になったりもしますよね。
10年ごとに更新が必要、でも費用がネックに
温泉分析書のルールとして、10年以内に分析した結果を掲示しなければならないと定められています。
毎年分析しても問題はないのですが、1回の分析に約10万円もの費用がかかるため、実際には期限ギリギリの10年ごとに更新されることがほとんどなんだとか。
なるほど、確かに小さな宿にとって10万円は大きな出費ですよね。経営の苦労が垣間見えるエピソードです。
分析しているのは「源泉」、浴槽の中身は違う場合も
ここが温泉分析書を読む上でのポイントです。本来は浴槽ごとに分析することが理想なのですが、費用面の問題から、実際に分析されているのは湧出地や温泉タンクなどの「源泉」であることがほとんどです。
つまり、分析書に書かれた成分と、実際に私たちが入っているお湯の成分は、必ずしも同じではないということ。
加水・加温・濾過・循環・塩素消毒などを行っている場合、源泉の状態からお湯が変化してしまうんですね。
- 加水:成分が薄まる(希釈される)
- 加温:ガス成分が放出されてしまう
- 濾過・循環:成分が変化したり酸化したりする
- 塩素消毒:成分に影響が出ることも
これらを行っている場合は、その理由とともに掲示することが義務づけられています。
脱衣場の分析書の近くに「加水・加温・循環・消毒」についての掲示がないか、ぜひチェックしてみてください。
「ラドン 未測定」と書かれていたら?
温泉分析書を眺めていると、「ラドン 未測定」という記載を見かけることがあります。
ラドンは放射能泉の成分なのですが、計測には追加費用がかかる上に、放射能泉自体が珍しいため、多くの施設でラドンは測定されていません。
「未測定」と書かれていても、何か問題があるわけではないので安心してください。
泉質名が変わると、宿の案内も全部変えないといけない
もうひとつ面白いエピソードをご紹介します。
温泉の再分析をしたとき、泉質名が変わってしまうことがあります。そうなると、パンフレットやホームページ、館内の案内板など、あらゆる場所を修正しなければなりません。
そのため、泉質名が変わりそうな場合は意図的にすぐ再分析を行い、新しい泉質名に合わせた案内を先に準備するという宿もあるそうです。
熊本県天草の「下田温泉」などがその例として知られています。温泉の世界も、なかなか大変なんですね。
温泉分析書の読み方、ここだけ押さえれば十分!
難しそうな温泉分析書ですが、最初は以下のポイントだけ見ればOKです。
| チェックポイント | 見るべき内容 |
|---|---|
| 泉質名 | 単純温泉、硫黄泉、塩化物泉など。どんな効能が期待できるかの目安になる |
| pH値 | 酸性・中性・アルカリ性の目安。アルカリ性が高いと「美人の湯」と呼ばれることが多い |
| 泉温 | 湧き出たときの温度。加温しているかどうかの判断材料になる |
| 分析年月日 | いつ分析したか。10年以内であればOK |
| 加水・加温・循環・消毒の有無 | 源泉かけ流しかどうかの確認に。理由とともに掲示されているはず |
この5点を意識して見るだけで、温泉分析書がぐっと身近に感じられるはずです。
次に温泉宿を訪れたとき、ぜひ脱衣場の壁をじっくり眺めてみてください。
泉質の多様性が魅力!黒川温泉で温泉分析書を読み比べてみよう
温泉分析書の面白さを実感するのにぴったりの温泉地が、熊本県の黒川温泉です。
小さな温泉地でありながら、宿によって異なる泉質を持っているという、温泉通にはたまらない場所なんです。
黒川温泉といえば「入湯手形」が有名。手形を購入すると3軒の宿の湯めぐりが楽しめます。
各宿に情緒ある露天風呂があって、「田舎の温泉テーマパーク」のような雰囲気が楽しめるんです。
湯めぐりをしながら、それぞれの宿の温泉分析書を読み比べてみると、同じ温泉地でも泉質がこんなに違うのか!という発見があって面白いですよ。
たとえば「歴史の宿 御客屋」は、以前は酸性で鉄分を含む泉質でしたが、現在は「ナトリウムー硫酸塩・塩化物温泉」という優しい「美人の湯」に変わっています。
再分析によって泉質が変わった好例ですね。
黒川温泉でぜひ訪れてほしい宿をご紹介します。
| 宿名 | 住所 | 特徴 | 予約 |
|---|---|---|---|
| 黒川温泉 やまびこ旅館 | 熊本県阿蘇郡南小国町黒川6704 | 開放感あふれる非常に広い露天風呂が自慢 | 楽天トラベルで宿泊プランを見る |
| 黒川温泉 旅館 壱の井 | 熊本県阿蘇郡南小国町満願寺6630-1 | 黒川温泉の情緒を感じられる人気の宿 | 楽天トラベルで宿泊プランを見る |
| 黒川温泉 旅館 山河 | 熊本県阿蘇郡南小国町 | 全国的にも知られる名宿。黒川温泉らしさを最も体現している | 楽天トラベルで宿泊プランを見る |
まとめ:温泉分析書を読めると、温泉旅行がもっと楽しくなる
温泉分析書は、法律で掲示が義務づけられた大切な情報源です。
難しそうに見えますが、泉質名・pH値・泉温・分析年月日・加水や循環の有無、この5点を押さえるだけで十分楽しめます。
そして大事なポイントは「分析されているのは源泉であって、浴槽の中のお湯とは違う場合がある」ということ。
加水や循環の有無もあわせて確認することで、そのお湯の素顔が見えてきます。
次の温泉旅行では、脱衣場の壁に貼られた分析書をぜひじっくり眺めてみてください。
きっと今まで見えなかった温泉の魅力が、新しく見えてくるはずです。