こんにちは、温泉大好き「湯けむり散歩人」です。
普段は群馬の温泉を巡っていますが、今回はちょっと足を伸ばして、青森県にある憧れの「酸ヶ湯(すかゆ)温泉」へ行ってきました!
「酸ヶ湯といえば千人風呂だけど、混浴ってどうなの?」「古い建物って聞いたけど、居心地は?」そんな疑問にお答えすべく、実際に泊まって感じたリアルな体験記をお届けします。
体質的に硫黄がダメでなければ、ここはまさに天国。心の底から癒やされた二泊三日の記録、ぜひ最後までお付き合いくださいね。
この記事の目次
アクセスも安心!青森からの無料送迎バスを利用
酸ヶ湯温泉は、八甲田連峰の西麓、標高約900mにある一軒宿の温泉です。「自力で行くのは大変そう……」と思っていましたが、青森から便利な無料送迎バスがあるんです!
私たちが宿泊した時は、無料送迎バスは青森駅からでしたが、2025年11月27日からは、「新青森駅発着」へ変更となりました!これから予約される方は、集合場所を間違えないように気をつけてくださいね。
私たちは14時に青森駅へ迎えに来てくれるバスを利用しました。利用者が多かったので、大型バスとマイクロバスの2台で迎えに来てくれました。
青森の市街地を抜けて、山道をグングン登っていく車窓からの景色は、それだけで旅の気分を盛り上げてくれます。バスに揺られることしばし、山の中にふっと大きな木造建築が現れました。それが、目的地の酸ヶ湯温泉です。
酸ヶ湯温泉旅館の外観

湯治棟でのノスタルジックな滞在
今回私たちが宿泊したのは、湯治棟の「5号館」という建物です。なんと築94年というから驚きです!1号館はリニューアルされて洋室タイプになりましたので、洋室希望の場合は、1号館になります。
お部屋は6畳の和室で、正直に言うと「ピカピカの最新ホテル」ではありません。隣の部屋の話し声が少し聞こえてくるのも、歴史ある湯治場の一部。
廊下を歩けばギシギシと音が鳴り、トイレや洗面台も共同。冷蔵庫もありません。まるで学生時代の合宿に来たような、どこか懐かしい雰囲気です。

でも、不思議なことに、しばらくいるとこの素朴さが心地よくなってきます。
フロントのスタッフさんはとても親切で、初めての宿泊だと分かると館内の説明を丁寧にしてくれました。ただ、建物自体が広くて入り組んでいるので、説明を聞いてもなお、部屋にたどり着けず迷子に…。
通りすがりの方が声をかけてくださり、なんとか無事に部屋に到着。こういう「ちょっとした人の優しさ」に触れられるのも、湯治場らしい温かさだなと感じました。
酸ヶ湯の真髄!圧倒的なスケールの「ヒバ千人風呂」
酸ヶ湯といえば、やはりこの「ヒバ千人風呂」を語らずにはいられません。160畳もの広さを誇る総ヒバ造りの大浴場は、まさに圧巻の一言!
ヒバ千人風呂の入口

「ヒバ千人風呂」は基本混浴です。混浴が気になる方は「湯あみ着」をレンタルすることが出来ます。又朝夕の8時から9時の時間帯は、女性専用になります。
中はにごり湯(白濁)ですし、湯けむりがもうもうと立ち込めているので、入ってしまえば周りの視線は気にならなくなります。
脱衣所から浴場に足を踏み入れた瞬間、ふわっと立ち上る硫黄の香りと、白くけむる湯けむり、そして総ヒバ造りの巨大な浴室空間に圧倒されました。
160畳もの広さを誇る「ヒバ千人風呂」には、
– 熱の湯
– 冷の湯
– 四分六分の湯
– 湯滝
といった4つの異なる源泉がひとつの浴室に集まっています。
ヒバ千人風呂の入浴法

浴槽ごとに温度や肌あたりが少しずつ違って、「次はあっちに入ってみようかな」と、気づけば湯めぐり状態に。
「熱い」と聞いて少し身構えていましたが、実際に浸かってみると、お湯加減はちょうどよく、長く入っていられる心地よさでした。
“熱湯よりぬるく感じるのに、あとからじんわり効いてくる”という不思議な感覚があり、まさに「四分六分」「熱の湯」といった昔ながらの呼び名に納得です。
私は「熱の湯(ねつのゆ)」が気に入りました。名前に「熱」と付いていますが、実はそれほど熱くなく、じっくり浸かっていられる絶妙な温度なんです。
八甲田音頭でも「ぬるいようでも、あとでききます、身にしみる」と歌われている通り、上がった後もずっと体がポカポカしていました。
深夜に入った千人風呂は、静寂の中に湯の流れる音だけが響き、柱一本ない巨大な空間が歴史の重みを感じさせてくれました。あの趣、ぜひ一度は体験してほしいです。
「玉の湯」もとても快適
千人風呂と併設されている、男女別の小浴場が「玉の湯」です。
こちらは千人風呂とは源泉が異なりますが、どちらも白濁した酸性の硫黄泉で、泉質はよく似ています。
玉の湯の入口

女性用の玉の湯は、ヒバ造りでシャワーも完備しています。「小浴場」とはいえ十分な広さがあり、のびのびと手足を伸ばして入れます。
千人風呂のスケールの大きさや混浴ならではの独特の雰囲気も魅力的ですが、玉の湯は落ち着いてゆっくり自分と向き合える時間を持てます。
今回の二泊三日の滞在で、千人風呂と玉の湯、合わせて何度お湯に浸かったか?数えきれないほど浸かりました。
酸ヶ湯温泉周りの散策も楽しみだったのですが、丁度宿泊した時に「近くで熊が出た」という情報があり、散策は禁止になってしまいました。このこともあり、今回の滞在ではほとんどの時間を酸ヶ湯温泉旅館内で過ごしました。
体質的に硫黄がダメでなければ、本当に良いお湯で、入るたびに体がほぐれ、心までふっと軽くなる感覚がありました。
酸性硫黄泉のパワーと注意点
酸ヶ湯の温泉は、酸性硫黄泉(含石膏、酸性硫化水素泉)という泉質で、「療養に適した温泉(療養泉)」としても知られています。
浴用の適応症としては、
神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・慢性消化器病・冷え性・疲労回復・慢性皮膚病・動脈硬化症・糖尿病・高血圧症 など、実に幅広い症状に良いとされています。
一方で、強酸性の硫黄泉ゆえの注意点も。
体質的に硫黄が合わない方や、皮膚・粘膜が過敏な方にはきつく感じることがあります。
また、ネックレスやピアスなどの貴金属は一瞬で変色してしまうので、入浴前には必ず外してくださいね。
湯治の目安は「3日1廻り×3廻りで10日ほど」と言われるほど、じっくり滞在して体を整える場でもあります。
旅行の場合は10日も滞在するのは無理ですが、湯治が必要になった時には、じっくりと滞在したい温泉です。
酸ヶ湯温泉の歴史と「鹿の湯」の伝説
酸ヶ湯温泉には、約三百年前の江戸時代に遡る面白い伝説があります。
貞享元年(1684年)、横内(現在の青森市内)に住んでいた狩人の長内佐ヱ門四郎が、鹿を仕留め損ね、その手負いの鹿を追って山に分け入りました。3日後、ついに鹿を見つけたものの、傷を負っていたはずの鹿が、あっという間に岩山を駆け上がって逃げてしまいました。その俊敏さに不思議さを覚えた長内佐ヱ門四郎が付近を探ると、そこに温泉が湧き出ているのを発見したのです。
その湯に薬効があることを知り、彼はその湯を「鹿の湯」と名付けて利用した――これが、酸ヶ湯温泉の始まりだと言われています。
江戸時代から多くの湯治客が訪れ、現在の大浴場「熱の湯」の周辺には複数の湧出口がありました。
地元の人々がそこに小屋を建て、山菜採りや狩人たちに温泉を開放していたのが、湯治場・酸ヶ湯の原型となります。
その後、小屋主たち(湯主)が協力して組合を設立し、湯治棟から旅館部へと増改築を重ねながら、現在のような大きな温泉宿へと発展していきました。
昭和29年には、その卓越した効能や豊富な湧出量、広大な収容施設、清浄な環境、アクセスの良さ、そして低廉な料金などが評価され、全国で初めて「国民保養温泉地第1号」に指定されました。まさに、日本の温泉地のモデルケースとなった歴史ある湯治場なのです。
酸ヶ湯を愛した文化人
酸ヶ湯温泉は、ただの温泉地ではなく、多くの文化人や山の男たちに愛されてきた場所でもあります。
世界的な版画家 棟方志功
版画家の棟方志功画伯は酸ヶ湯をこよなく愛し、ここで湯治をしながら創作活動をしていたと伝えられています。館内には、「棟方志功ギャラリー」があり、棟方志功の版画や書が多数飾られています。
「棟方志功ギャラリー」は温泉とともに芸術にも触れられる空間になっています。
棟方志功ギャラリー

「仙人」と呼ばれた山の案内人 鹿内辰五郎
鹿内辰五郎は15歳から60年間酸ヶ湯に勤務し、八甲田雪中行軍遭難事件をはじめ、多くの遭難事故で人命救助にあたった人物です。長年にわたり山の案内人を務め、「仙人」の愛称で親しまれました。
山を愛する登山家 *三浦敬三・三浦雄一郎親子
「混浴を守る会」の永久名誉顧問である三浦敬三氏、その子息である冒険家・三浦雄一郎氏も、八甲田と酸ヶ湯温泉をこよなく愛し、「八甲田は我が心のふるさと」と語っています。
こうした人々が行き交い、湯治し、山を語り合ってきた場所――それが酸ヶ湯です。
素朴だけど満足感の高い湯治場ならではのお食事!
湯治棟宿泊者の食事は、夕食、朝食ともに食事処になります。
夕食のお料理はちょうど良い量で、何より嬉しいのが「ご飯とお汁物がおかわり自由」なこと!熱々の鍋もあり、最高のご馳走でした。
夕食の料理

朝食はバイキング形式です。品数はそれほど多くありませんが、温泉を楽しみに行くには十分すぎる内容です。朝食は旅館棟と同じ場所なので、時間帯によっては大変混雑します。
私たちも、1日めは要領が分からず、入口の長い列に並びました。列が長くなるのは、朝食会場の入口入ってすぐのところから、バイキングの料理が並んでいたからでした。別の料理を取りたい人は入口の列に並ばなくても良かったのにと、後で思いました。
ちょっと困ったのは、料理を取った後、座る場所をなかなか見つけられなかったことです。お膳に料理を取った後、席を探すために食事会場をウロウロしてしまいました。
酸ヶ湯温泉の宿泊情報
酸ヶ湯温泉には、大きく分けて旅館棟と湯治棟の2つのタイプがあります。
| 施設・棟名 | 特徴 |
|---|---|
| 旅館棟(1号館) | 2019年にリニューアルされたベッド付きの洋室。冷蔵庫・トイレ・洗面台付きで、比較的快適性を求める方向け。 |
| 旅館棟(7号館・イ棟) | 木造2階建てで、縁側や床の間付きの6〜8畳の和室。昔ながらの雰囲気が色濃く残る屋。(トイレ・洗面共同)。 |
| 湯治棟(2・3・5・6号館) | 長期滞在・自炊も可能な簡素な和室。本格的な温泉療法に。テレビや冷蔵庫、浴衣・タオルは備え付け。洗面所・トイレは共同。 自炊する場合は炊事場を利用でき、鍋やおたま、食器類は無料貸し出しあり。(※包丁やまな板などは持参)。 洗濯機(洗濯・乾燥各100円/60分)もあり、“暮らすように湯治する”にはぴったりの環境。 |
| ヒバ千人風呂(混浴) | 160畳の広さ。熱の湯、四分六分の湯、湯滝など4つの源泉。 |
| 玉の湯(男女別) | シャワー完備。混浴が苦手な方も安心して入れる白濁湯。 |
館内施設とちょっとしたお楽しみ
長期滞在者も多い酸ヶ湯温泉では、“温泉+α”を楽しめる施設も充実しています。
– 売店:青森らしいお土産(りんごを使ったお菓子やジュース・県産地酒・津軽塗・こぎん刺しなど)、酸ヶ湯オリジナルグッズ(温泉の素・石鹸・フェイスマスク・ドリップコーヒー・手ぬぐいなど)も販売。
– 出店:青森市のB級グルメ「生姜みそおでん」や、濃厚なソフトクリームなど、湯上がりのおやつにぴったり。
– 棟方志功ギャラリー・ぎゃらりー神舞閣:静かな空間で、作品や写真を眺めながら過ごせるギャラリー。読書にも最適。
– 御鷹々々サロン:日帰り入浴客も利用できる休憩スペース。湯上がりの体をクールダウンさせながら外の景色を眺めるのにおすすめ。
– 温泉療養相談室:看護師資格を持つ相談員が常駐し、健康チェックや入浴方法の相談に乗ってくれます。
– 手もみ処:温泉で温まったあと、プロの手でじっくり揉みほぐしてもらえば、日々の疲れも一気にリセットされます。
周辺散策:八甲田の自然を感じるひととき
酸ヶ湯温泉のもうひとつの魅力は、八甲田山の大自然に抱かれていることです。
標高約900mの高地に位置しているため、季節ごとにまったく違う表情を見せてくれます。
– 春〜初夏:残雪の八甲田と新緑が共存する、特別な季節。雪解け水のせせらぎや芽吹きの音を感じながらの散策が楽しめます。
– 夏:避暑地としても快適で、ブナ林を抜ける登山やトレッキングに最適。涼しい空気の中で汗をかき、帰ってからの温泉がまた格別です。
– 秋:言わずと知れた紅葉の名所。八甲田の山肌が赤や黄に色づき、露天風呂や館内から眺める景色も見事です。
– 冬:一面の銀世界と、樹氷の景色。吹雪の日はまさに“秘湯に籠もる”感覚で、外が荒れているほど、湯船の中のぬくもりがありがたく感じられます。
時間に余裕があれば、
– 近隣の散策路を歩く
– バスや車で少し足を延ばして、八甲田ロープウェーや雪中行軍遭難記念地を訪ねる
といったプランもおすすめです。
私たちが宿泊した時は、「熊出没情報」があり、外出禁止でした。現地での熊情報に注意してください。
酸ヶ湯温泉はこんな人におすすめ
実際に泊まってみて感じた、酸ヶ湯温泉が特に向いているタイプをまとめてみます。
– 温泉そのものをじっくり味わいたい人
→ 強酸性の硫黄泉に何度も入り、体の芯から温まりたい人に。
– “昔ながらの湯治場”の雰囲気が好きな人
→ 木造の廊下がきしむ音や共同のトイレなど、「不便さも含めて味わい」と感じられる人。
– 歴史や文化が好きな人
→ 鹿の湯伝説や、棟方志功・三浦家など、歴史と人物の物語が温泉をより深くしてくれます。
-*自然の中でリセットしたい人
→ 八甲田の四季折々の景色に包まれ、心と体をリフレッシュしたい人にぴったり。
逆に、
– 最新設備が整ったピカピカのシティホテルのような快適さを求める方
– 硫黄の匂いや強酸性の泉質が苦手な方
には、向いていないです。
まとめ|“体質的に硫黄がダメでなければ、本当に良いお湯”
今回の滞在では、千人風呂と玉の湯に何度も浸かり、山の空気を吸い、素朴なご飯をいただき、古い木造の部屋でごろんと横になっているうちに――
気がつけば、心も体もすっかりほぐれていました。
- 青森駅からの無料送迎バスでアクセスもスムーズ
- 総ヒバ造り・160畳の「ヒバ千人風呂」は、まさに圧巻の一言
- 「玉の湯」も、静かに自分と向き合える大切な空間
- 古くて便利とは言えないけれど、なぜか居心地のいい7号館や湯治棟
- 300年以上続く「鹿の湯」からの歴史と、数々の人々に愛されてきた物語
- 八甲田の自然に抱かれた、四季折々の美しい景観
これらが全部重なり合って、「酸ヶ湯に泊まってよかったな」と心から思える時間になりました。
群馬の温泉も素晴らしいですが、八甲田の厳しい自然の中に佇む「酸ヶ湯温泉」は、また格別の趣がありました。
| 郵便番号 | 030-0197 |
| 住所 | 青森県青森市荒川字南荒川山国有林小字酸湯沢50 |
| アクセス | JR 青森駅より十和田湖行JRバスで70分 |
| 駐車場有無 | 有り 150台 無料 先着順 |

酸ヶ湯温泉旅館
酸ヶ湯温泉旅館