温泉が好きで各地の宿を訪ね歩いていると、ふと気になることがあります。
「この温泉って、どんな効能があるんだろう?」「泉質名って何を意味しているの?」そんな素朴な疑問、実は温泉の世界ではとても奥深いテーマなんです。
今回は、温泉好きなら知っておきたい「温泉」と「療養泉」の違いについて、わかりやすくお伝えします。
群馬県の四万温泉を例に挙げながら、温泉通の視点でじっくり解説していきますね。
そもそも「温泉」の定義とは?
日本では「温泉法」という法律によって、温泉の定義がきちんと決められています。大まかに言うと、以下のどちらかを満たせば「温泉」と名乗ることができます。
- 源泉の温度が25℃以上であること
- 指定された19種類の成分のうち、いずれかが規定値以上含まれていること
つまり、成分が薄くても温度さえ高ければ「温泉」になりますし、逆に温度が低くても特定の成分が豊富なら温泉として認められます。意外と間口が広いんですよね。
群馬県は「温泉王国」と呼ばれるだけあって、草津・伊香保・四万・水上など、個性豊かな温泉地がそれぞれ異なる泉質を誇っています。
訪れるたびに「ここはどんなお湯なんだろう」と分析書を眺めるのが、私の楽しみのひとつになっています。
「療養泉」はもっとハードルが高い
では「療養泉」とは何でしょうか。一言で言えば、温泉よりも厳しい基準をクリアしたお湯のことです。
温度の基準は温泉と同じ25℃以上ですが、成分の条件が大きく異なります。
温泉では19成分のいずれかが基準値以上あればOKでしたが、療養泉では成分の種類が7つに絞られ、しかもそれぞれの規定値が温泉よりもかなり高く設定されています。
たとえば、よく耳にする「二酸化炭素泉(炭酸泉)」を例に挙げると…
| 区分 | 二酸化炭素の含有量 | 備考 |
|---|---|---|
| 温泉 | 250mg/kg 以上 | 温泉法の基準 |
| 療養泉(二酸化炭素泉) | 1,000mg/kg 以上 | 療養泉の基準(4倍!) |
なんと4倍もの濃さが必要なんです。療養泉はそれだけ「本物のパワー」を持ったお湯ということですね。
泉質名と適応症は「療養泉」だけに与えられる称号
これ、意外と知られていないポイントなんですが、「泉質名」がつくのは療養泉だけなんです。
「単純温泉」「塩化物泉」「硫酸塩泉」「二酸化炭素泉」「含鉄泉」「硫黄泉」「放射能泉」——これらはすべて療養泉の泉質名です。泉質名がつくということは、それだけ成分が濃く、医学的にも効能が認められているということ。
一方で、療養泉の基準に届かない温泉の場合、分析書には泉質名ではなく「メタけい酸の項により温泉に該当」といった文章で記載されます。
泉質名がないからといって「ダメなお湯」というわけでは全くないのですが、効能という面では療養泉とは区別されます。
泉質名がない温泉が「美人の湯」になる理由
ここが面白いところで、泉質名がつかない温泉にも素晴らしいお湯がたくさんあります。
特にアルカリ性の温泉は、肌の角質を柔らかくする働きがあり、入浴後にお肌がツルツル・スベスベになることで有名です。
埼玉の都幾川温泉や神奈川の飯山温泉などが「美人の湯」として知られていますが、これらは成分的には療養泉の基準に届かないものの、アルカリ性の柔らかいお湯が肌に優しく作用するため、美肌効果が高いと評判なんです。
「泉質名がない=効果がない」ではなく、お湯の個性や魅力はまた別のところにある、ということですね。温泉の奥深さを感じます。
入浴剤と比べてみると温泉の濃さがわかる
温泉の成分の濃さを実感するために、こんな面白い計算方法があります。一般的な市販の入浴剤の成分総計は約150mg/kgと言われています。
温泉の分析書に書いてある「成分総計」をこの150で割ると、入浴剤何個分の濃さに相当するかがわかるんです。
たとえば成分総計が3,000mg/kgの温泉なら、3,000 ÷ 150 = 20個分!市販の入浴剤20個分の成分が溶け込んでいるお湯に浸かっているわけです。これは体感も違いますよね。
次に温泉に行ったときは、ぜひ脱衣所に貼ってある分析書の「成分総計」をチェックして、入浴剤換算してみてください。温泉を見る目が変わりますよ!
療養泉の名湯・四万温泉で試してみて
群馬県の温泉地の中でも、四万温泉は療養泉として古くから知られる名湯です。
「四万の病を癒す」という言い伝えからその名がついたとも言われ、胃腸病や神経痛、皮膚病などへの効能が古くから伝えられてきました。
渓谷沿いに宿が並ぶ風情ある温泉街は、ジブリ映画の舞台になったとも言われる積善館をはじめ、趣ある宿が点在しています。
お湯の質はもちろん、その雰囲気も格別。訪れるたびに「また来たいな」と思わせてくれる場所です。
以下に四万温泉のおすすめ宿をまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
| 宿名 | 住所 | 予約 |
|---|---|---|
| 四万温泉 豊島屋 | 群馬県吾妻郡中之条町四万3887 | 楽天トラベルで宿泊プランを見る |
| 四万温泉 柏屋旅館 | 群馬県吾妻郡中之条町四万3829 | 楽天トラベルで宿泊プランを見る |
| 四万温泉 積善館本館 | 群馬県吾妻郡中之条町四万甲4236 | 楽天トラベルで宿泊プランを見る |
積善館の宿泊記はコチラです >> 積善館宿泊記
「千と千尋の神隠し」の世界に飛び込みたい!って、きっと誰もが一度は夢見ますよね。 群馬県・四万温泉にある「積善館(せきぜんかん)」は、まさにその夢を叶えてくれる場所。どんな素敵な体験が待っているのか、気になっていませんか? 群馬[…]
まとめ:温泉を「読む」楽しさを知ると旅がもっと深くなる
今回は「温泉」と「療養泉」の違いについてお伝えしました。改めて整理すると…
- 温泉:源泉25℃以上、または指定19成分のいずれかが基準値以上
- 療養泉:温泉よりも厳しい基準をクリアした、成分の濃いお湯
- 泉質名・適応症は療養泉にだけ与えられる
- 泉質名がなくてもアルカリ性の温泉は「美人の湯」として魅力的
- 成分総計 ÷ 150 で入浴剤換算ができる
温泉の分析書って、最初は難しそうに見えますが、こうした知識が少しあるだけで読み方がグッと変わります。
宿に着いたらまず分析書を眺めて、「このお湯はどんな個性があるんだろう」と想像する——それだけで温泉旅がもっと豊かになりますよ。
四万温泉をはじめ、群馬にはまだまだ語りきれない名湯がたくさんあります。
これからも温泉通の目線で、群馬の温泉の魅力をお届けしていきますね。どうぞお楽しみに!
