定年を迎え、のんびりと県内の名湯を巡るのが日課の私ですが、皆さんは温泉を選ぶとき、何を基準にしていますか?「やっぱり熱いお湯でシャキッとしたい!」「いやいや、長湯できるぬるめが好き」など、好みはそれぞれですよね。
でも実は、温泉の「温度」と「泉質」には、切っても切れない不思議な関係があるんです。今日は、知っているようで意外と知らない「温泉の温度の秘密」について、ちょっと深く掘り下げてお話ししたいと思います。
この記事の目次
温泉の泉質は「温度」によって決まる?
日本の温泉には、大きく分けて10種類の泉質(単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、酸性泉、硫黄泉、二酸化炭素泉、放射能泉、含鉄泉、含よう素泉)があります。群馬だけでも、草津の酸性泉から伊香保の鉄分を含んだ茶褐色のお湯まで多種多様ですよね。
しかし、これらすべての成分が1つの源泉に混ざり合うことはありません。なぜなら、泉質には「適正温度」という宿命があるからです。
たとえば、草津温泉のような「酸性泉」や「硫黄泉」。これらは火山活動の影響を強く受けているため、源泉温度が非常に高いのが特徴です。湧き出た瞬間は80度、90度なんてことも珍しくありません。まさに「熱い名湯」の代表格ですね。
一方で、冷たい、あるいはぬるいからこそ成立する名湯もあります。
温度が低いからこそ守られる「希少な成分」
皆さんは、コーラやサイダーを温めたことがありますか?……普通はありませんよね(笑)。もし温めたら、シュワシュワの炭酸ガスは一気に抜けてしまいます。温泉もこれと全く同じなんです。
「二酸化炭素泉(炭酸泉)」や「放射能泉(ラドン温泉)」は、気体が主成分。源泉の温度が高すぎると、地表に出てくる前に成分が空中に逃げてしまうんです。つまり、これらの成分を豊富に含んだ温泉は、必然的に「低温」で湧き出しているということになります。
私が以前、県外の炭酸泉を訪れたとき、35度くらいのぬるーいお湯にじっくり1時間浸かりました。最初は「ちょっと寒いかな?」と思うのですが、次第に体中に銀色の泡が付き、血行が良くなって体の芯からポカポカしてくるんです。
これは高温の温泉では味わえない、低温源泉ならではの贅沢ですね。
「温泉」と「冷鉱泉」のボーダーライン
ここで少し豆知識を。実は、私たちが普段「温泉」と呼んでいるものの中には、法律上の定義で名前が変わるものがあります。
- 温泉:源泉温度が25度以上のもの
- 冷鉱泉:源泉温度が25度未満のもの
「えっ、25度未満ならただの水じゃないの?」と思われるかもしれませんが、たとえ冷たくても、特定の有効成分が規定量以上含まれていれば、立派な「療養泉」として認められます。温度が低いからといって、決して効果が薄いわけではありません。むしろ、熱に弱い希少な成分をたっぷり含んだ「宝物のようなお湯」である可能性が高いのです。
本物を求めるなら知っておきたい「純温泉」
最近、温泉ファンの間で注目されている言葉に「純温泉(じゅんおんせん)」というものがあります。これは、源泉かけ流しにこだわり、塩素消毒を一切していないオーガニックな温泉のこと。野菜でいえば「無農薬」のようなイメージですね。
特にぬる湯の場合、雑菌が繁殖しやすいという理由で消毒を強めにする施設もありますが、源泉の鮮度と自浄作用を活かした「純温泉」は、お湯本来の香りと肌触りが格別です。群馬にもこうしたこだわりを持つ宿がいくつかあります。ぜひ、お湯の「鮮度」にも注目して宿を選んでみてください。
群馬家の純温泉「白根の見える丘」の記事はこちらです⇓
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一度は訪れたい、歴史と物語のある名湯
さて、温度と泉質の関係を知ったところで、私が実際に訪れて「ここは素晴らしい!」と感じた、歴史ある温泉地を2つご紹介します。
1. 石川県・粟津温泉(あわづおんせん)
こちらは奈良時代の718年から続く、北陸最古と言われる名湯です。1300年以上もの間、絶えることなく湧き続けているなんて、ロマンを感じませんか?長きにわたって愛されるには、やはりそれだけの理由(泉質の良さ)があるんです。
2. 新潟県・赤倉温泉(あかくらおんせん)
妙高高原にあるこの温泉は、実は「温泉ソムリエ」発祥の地。温泉を科学的に、かつ楽しく学ぶ文化がここから始まりました。泉質は「硫酸塩泉」で、肌をなめらかにしてくれる“美肌の湯”としても有名です。
まとめ:自分にぴったりの「適温」を見つけよう
温泉の楽しみ方は、決して温度だけではありません。熱い湯でしゃきっと活力を得るのもよし、ぬる湯で希少な成分をじっくり味わうのもよし。
今回のポイントをまとめると……
- 高温の温泉:酸性泉や硫黄泉など、火山性のパワフルな成分が多い。
- 低温の温泉:二酸化炭素泉や放射能泉など、気体成分を大切に保持している。
- 25度の壁:温度に関わらず、成分が濃ければ素晴らしい「療養泉」。
- 純温泉:消毒なしの「オーガニックな鮮度」を楽しめる。
次に温泉へ行くときは、ぜひ脱衣所に掲示されている「温泉分析書」をチラッと見てみてください。「あ、ここは源泉が低いから炭酸が残ってるんだな」なんて分かると、いつもの入浴がもっと楽しく、深いものになりますよ。
「湯けむり散歩人」のブログでは、これからも群馬を中心に、皆さまの旅が少しだけ豊かになるような温泉情報をお届けしていきます。それでは、素敵な温泉ライフをお過ごしください!
